キッチンで死ぬほど消耗してた30代主婦が、自動調理器3台買い揃えてみたら平日が静かになった話
—— ある春の夜、台所に立ったまま涙が出てきた話から始まります
連載エッセイの第一話。家事を頑張ることをやめて、家電に肩代わりさせる暮らしを始めたきっかけと、その後の変化を書きました。
ある春の夜、台所に立ったまま、ふいに涙が出てきた話
2025年の春のことだった。
夕食の片付けを終えて、あとはお風呂に入って寝るだけ、というところで、なぜか私は台所のシンクの前で立ち止まってしまった。手にはお茶を注ごうとした空のマグカップ。蛇口の水音だけがしている。
特別な何かがあったわけじゃない。子どもは寝かしつけ済みで、夫は書斎で仕事をしている。明日の弁当の準備も、もう終えてある。
ただ、立ち上がれない。
そして、立ち止まったまま、涙が出てきた。理由はよくわからない。ただ、台所に立つこと自体が、いつの間にか「すり減ること」になっていた、ということだけは、わかった。
「家事を頑張る」ことを、やめてみた
その夜、夫に「もう、家事を頑張るのをやめる」と告げた。
夫はちょっと困った顔をして、「どういう意味?」と聞いた。私は答えた。
「家電に、肩代わりさせる」
翌週、ホットクックを買った。月末にクックフォーミーが届いた。連休には Re・De Pot を注文して、3台目が届いた頃には、台所はちょっとした自動調理工場のようになっていた。
夫は呆れていた。「3台もいる?」と聞かれた。私は答えた。
「いる。でも、たぶん、これでもまだ足りない」
家電が増えると、暮らしが減るのではなくて
家電を増やすと、家がモノでごちゃつくと思っていた。実際、台所は確かに、置き場所のパズルになった。
でも、増えたのは家電だけだった。暮らしは、減らなかった。
正確に言うと、減ったのは「台所に立っている時間」と「夕食を作る精神的な負荷」だった。
朝、出勤前に材料を切ってホットクックに入れる。タイマーをセットして、家を出る。帰宅すると、もう料理ができている。クックフォーミーで作った副菜を電子レンジで温めるだけ。Re・De Pot でご飯を炊いて、味噌汁は週末の作り置きを温めるだけ。
夕食までの時間が、20分になった。週によっては10分。
その「作らなくてよくなった時間」を、私は何に使ったか。
子どもと話した。本を読んだ。お湯に長く浸かった。何もしないで、ぼーっとした。それまで「家事をしながら、頭の中で次の予定を考える」ということしかしてこなかったので、「何もしない」というのが、最初は怖いくらいだった。
家電は「家事の代わり」ではなく「時間の取り戻し」
3台買って、半年経った今、改めて思う。
家電は、家事を代わりにやってくれる道具ではない。奪われていた時間を、自分の手元に戻してくれる装置 だ。
「家電に頼るのは、手抜きでは?」と、誰かに言われたら、こう答えたいと思う。
手は抜いてません。
手を、別のことに使えるようになっただけです。
子どもの話を聞くために。本を開くために。お風呂で長くぼーっとするために。あなたの手は、そっちに使ってください。
連載として、これから書いていくこと
このサイトは、その「台所で死なないための記録」です。第一話は、自動調理器を3台買った話からはじめました。
これから書いていくのは、
- 食洗機を買った夜、夫が静かに泣いた話(第二話 予定)
- ホームベーカリーを押入れに入れた朝のこと(第三話 予定)
- ある冬、お弁当箱を全部買い替えてみた話(閑話)
- 夏休み、子どもが料理を始めた一週間のこと(番外編)
文学的な意匠を借りた、ただの台所の記録 です。よかったら、ゆっくり、読んでみてください。
そして、もし家電のスペック比較が必要になったら、自動調理器 用途別おすすめ4選 のような比較レポートも、別系統で用意しています。エッセイで「ふん、ふん」と読み進めて、買い物の段になったら、そっちに移動して、スペックで吟味してください。
—— では、第二話で。